おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『私はダフネ』遠い場所まで母に会いに行こう。

 

『私はダフネ』2021年

 

父と母と3人で暮らしている、スーパーで働くダウン症の女性ダフネ。

しかしある日、休暇中に母が突然亡くなってしまう。

2人暮らしとなった中、父は元気も気力も失ってしまう。

そんな父を見てダフネは提案する。「徒歩でお母さんに会いに行こう」と。

 

父と娘の、優しい物語だと思いました。

どこにでもある家族の、父と子の物語。

 

なんとなく気恥ずかしかったり、なんとなく素直になれなかったり。

家族って不思議な存在だ。

自分の子ども時代を思い出してみる。

父と母の仲がとても悪くて、家では毎日ケンカ。そして離婚。

思えば母とはよく話していたけれど、父とはあまり会話した記憶がない。

家族って一番近い存在なのに、下手をすると友人より距離が遠いこともある。

 

ダフネと父の関係には、そういうもどかしさを感じました。

よくお喋りするけれど、理詰めしたり感情的になってしまうダフネ。

反対に、全然喋らずいまいちなにを考えているのかわからない父。

母がいなくなって、そんな父と子だけが取り残される。

悲しくて、どうしようもなくて、胸が苦しくて。

同じ気持ちを抱いているふたりなのに、なんとなく噛み合わない。

家族だから、お互い大切に思っているはずなのに。

 

ダフネはダウン症の女性です。

自分の意思をしっかり持って、コミュニケーション能力がとても高くて。

家では少し感情が爆発してしまうこともあるけれど、

一歩外に出たら誰にでも優しくて、そしてみんなに愛されている。そんな女性。

 

母がいなくなって、トイレに引きこもって号泣したり、

車内で顔を歪めて長い時間悲しみに明け暮れたりしていたダフネだけれど、

立ち直るのは父よりもずっと早く、

やがて大好きなスーパーでの仕事もてきぱきとこなすようになります。

家以外の居場所があって、たくさんの人たちの囲まれていたから、

早く立ち上がることができたのかな。

 

反対に父は立ち直ることができず、仕事もままならず寝込んでしまったり、

夜中に不思議な行動を取ったり、心身が疲弊している様子が描かれていきます。

お父さんには、家の中しか居場所がなかったのかもしれませんね。

仕事もあまりうまくいっていないようでしたし。

 

そんな様子を見てダフネは言うのです。

「お母さんに会いにいこう」と。

遠い遠い場所にある母の故郷。そしてお墓。

そこまで徒歩で行くことに決めて父と子は実行します。

1時間30分のうち、30分がほぼ山道でのシーンには驚きました。

でもまったく退屈することはなく、むしろ面白い。

お母さんに会いに行くまでの長い旅路で、父と子の距離が

どんどん縮まっていくのが見ていてわかるからです。

 

ダフネはとても強い子で。

いつでも背中を押してくれる、そんなエネルギッシュさがあります。

「人生はしんどい。それが人間らしいってこと」

ダフネの言葉に、なんだか背中を押された気がしました。

今ちょっとしんどいことがあるけれど、それでいいんだって。

 

個人的にこの映画で印象に残った点は、

とにかく引きでの映像が多いことや、

ダフネの行動を長めの尺で撮影していること。

なんだか、ホームビデオを見ているような、そんな気分になって、

より一層ダフネへ愛着がわくような作りになっている気がしました。

 

ラストのラストでの父と子のやりとりも素敵だったし、

旅の途中、宿泊施設でオーナーの奥さんにダフネのことを話す父のシーンも好き。

後半にかけて、じわじわと心が温まっていくような、

暖炉のような作品だな、と思いました。

 

映画感想『オートクチュール』ディオールで繋がる二人。

 

オートクチュール』2022年

 

ディオールオートクチュール部門の責任者エステルは、

ある日、バッグをひったくられてしまう。

その後、バッグを返しに来た女性ジャドの手先の器用さを見たエステルは、

針子見習いとしてアトリエに招く…。

 

ディオールが舞台の映画ということで、気になって見てみました。

以前見たマリメッコの映画といい、ファッションブランドの映画って、

どういう物語が描かれているのかとても興味がそそられます。

 

引退前、最後のショーに向けてドレスを仕上げていくエステル。

なにも持っていなかったけれどお針子としての才能を見抜かれたジャド。

ジャドを取り巻く環境と、エステルの孤独さ。

そしてディオールのアトリエで働く人々の熱い想い。

 

物語は、エステルとジャドという全く違う環境の二人が出会って、

紆余曲折して、お互いが人として成長していく、というお話。

シンプルな物語だけれど、上に書いたいろいろな要素が織り混ざって、

いくつも小さなドラマが生まれていく、という感じ。

 

ジャドのサクセスストーリーな雰囲気だけれど、

映画自体はものすごく明るい感じではなくて。

迷ったり、素直になれなかったり、人間臭い要素もたっぷり。

友人や母との難しい関係、距離感。

誰もがなにかしらの悩みを抱えていると思うから、

ジャドのがんばりに共感したり、一緒に悩んだりできるんじゃないかな。

 

逆にエステルは基本的にものすごく厳しくて。

最初はなんだかプライドの高い人だなぁ、と思っていました。

だけれど物語が進むにつれて、彼女もいろいろな問題を抱えていることがわかって、

その不器用っぷりに、彼女を応援したい気持ちでいっぱいになりました。

 

エステルとジャドは普通に暮らしていたら絶対に出会わないであろう二人。

そんな年も暮らし方も全く違う二人が出会うことで、

お互いに足りない部分を補うことができて、幸せに近づいていく。

運命の出会いっていうやつなのかな。

 

印象的だったのが、

ディオールで働くことになって、どんどんジャドが美しくなっていったこと。

元々綺麗なんですけどね。なんていうんだろう、キラキラしているんですよね。

私もだいぶ年を重ねて、若い頃が懐かしくなったりもするけれど、

年齢関係なく、頑張っている人って輝いて見えるのかもしれない。

自分もどういう努力をしていきたいな、と思いました。

 

エステルとジャドの話ばかりしてしまったけれど、

舞台はディオールオートクチュール部門のアトリエ。

それはそれは美しいドレスがたくさん見れました!!

モデルの方が着こなす姿が本当に本当に美しくてかっこいいです!!

 

映画感想『ワンダー 君は太陽』ヘルメットを被って暮らす少年は。

 

ワンダー 君は太陽』2018年

 

遺伝子疾患で生まれてから27回も手術を受けている10歳の少年オギー。

その容貌からいつもヘルメットを被って生活しているオギーだが、

小学校5年生となったある日、初めて学校に行くことを決意する。

そんな学校にはイジメっ子も、友人もいて…。

 

学校って複雑な環境ですよね。

オギーの生い立ちとは関係なく、大小様々なイジメの形があって…。

小中高となにかとイジメられていた私は、

この映画を見て、懐かしい学校生活を思い出しました。

と同時に、オギーの持つ強さがとても眩しく感じて。

それはまるで太陽のようでした。

 

なにかから隠れるようにヘルメットを被って暮らしていた少年オギー。

そんな彼が、勇気を出して学校に行くことを決意。

そこにはオギーを遠巻きに気味悪がる子どもたちがいて。

直接嫌悪感を剥きだしにしてイジメてくる子たちもいて。

そして。オギーと心通わせる良き友人になってくれる子もいます。

 

学校って小さな宇宙みたいだ。

いろんな特徴のある惑星があって、

その数は多すぎて全部把握することはできない。

そんな中で、目立つ星がちらほらあって。

それはきっと地球だったり月だったり、はたまた太陽だったりする。

オギーは、とても明るくて、そして賢くて。彼の周りには笑顔が絶えない。

彼は間違いなく太陽で。

眩しすぎて触れられない、触れるのが怖い人もいるのだろう。

 

この映画はとても面白い構成になっていました。

主人公の『オギー』、姉の『ヴィア』、オギーの友人『ジャック』、

姉の親友『ミランダ』の4視点が描かれています。

誰がなにを、誰に対してどういう感情を持っているのか。

繊細な心が短い時間で描かれていて、より一層映画に深みを与えてくれています。

見る人によって、誰に感情移入するか分かれそうで面白そうです。

それに、見る時期によっても感情移入の対象が変わりそうだなぁ、と。

初見の私は、なんだかミランダに感情が動かされました。

 

学校で友人ができて、苦しいことがあってもイジメっ子にも負けず、

友だちとケンカもして、心身ともに成長していくオギーの姿が素敵です。

お姉ちゃんも、家族も、友人もみんな優しくて、心がぽかぽかします。

オギーだけじゃなくて、もうみんな太陽!!って感じです。

 

ヘルメットがなくても前を向くオギー。

その一歩踏み出す勇気を見習っていきたいな。

 

映画感想『LION/ライオン~25年目のただいま~』25年間、迷子。

 

『LION/ライオン~25年目のただいま~』2017年

 

インドに住む5歳の少年サルーは、ひょんなことから回送列車に乗ってしまい

自宅から遠く離れた場所へと連れていかれ迷子になってしまう。

家の場所もわからずなんとか暮らしていたサルーだったが、

オーストラリアの夫婦のもとに引き取られることに。

やがて成長したサルーは、過去の記憶を取り戻し本当の家を見つけようとする…。

 

迷子になった経験はないけれど、

もし自分が5歳のときに迷子になっていたらずっと泣きわめいていたと思う。

それがたとえ家のすぐそばだったとしても。

子どもにとって、親から、家族から離れるのって耐えがたい苦痛を伴うはず。

どうしようもない不安、漠然とした怖さ。

そういう心の揺らぎのようなものが、この映画からは感じられました。

 

なんというか…。

迷子になったことないのに、まるで過去に迷子になったことがあるような。

そんな錯覚に陥るくらいのリアル感。

どこまでも走る列車の外を見つめる大きな瞳、

大人に混ざって駅で知っている地名を言葉にし続ける声、

あてどもなく見知らぬ土地をさまよう足取り、

そういう仕草から、迷子になった不安が伝わってくる。

大人の目線で、私はそのサルーの姿を見ているわけですが、

どうしようもなく胸が締め付けられる気持ちになるのです。

 

駅のホームを根城にする家のない子どもたち。それを捕まえる大人たち。逃げるサルー。

優しい女の人についていっても、裏切られ。

過酷な状況でサルーはなんとか生き延びていきます。

そうしていつしか、学校のような施設のような場所に連れていかれ、

運よくオーストラリアの夫婦のもとへ養子として迎え入れられます。

 

ここまでの流れが本当に本当に緊迫感があって、ドキドキしていました。

サルーはとても強い子で、たくましくて、すごいなと思います。

生きるのを諦めないって、こういうことを言うのかな。

 

インドから遠く離れたオーストラリアで成長していくサルー。

成長していく過程で、だんだんと過去の出来事を忘れていって…。

だけど大人になったある日、突然思い出します、子どもの頃のことを。

自分の本当の家を見つけ出そうと奮闘する姿、

だけれど、オーストラリアの両親のことも大好きで。

心の葛藤が伝わってきて、切なくなりました。

 

グーグルアースで見覚えのある場所に辿りついて、

一気に5歳の頃の記憶がよみがえるシーンはどうしたって涙してしまいます。

実話を映画にしたということで、なかばドキュメンタリーのようで、

ラストシーンは涙が止まりませんでした。

 

5歳のサルー役の子の目力がとてもすごくて、そこが深く印象に残ります。

ライオンというタイトルの回収も見事でした!

 

自分の話になってしまいますが、

私はひとりで電車で知らない駅に行くことがとても苦手です。

電車に揺られながら知らない景色、知らない駅を通過していくあの感覚。

思い出しただけでもドキドキとしてきます。

なんだか不安になるんですよね。帰れなかったらどうしようって。

 

だから、この映画の序盤のシーン。

回送列車で知らない場所に連れていかれる描写が怖くて怖くて。

きっと私の中でずっと忘れない1シーンになるんだろうなぁ。

映画を見ていて、そういう印象深いシーンに出会えるのはラッキーなのかもしれない。

何年経っても「ああ、この映画こういうシーンがあったなぁ」と思い出せるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画感想『君の名前で僕を呼んで』一生に一度しかない17歳の恋。

 

君の名前で僕を呼んで』2018年

 

北イタリアの避暑地で一夏を過ごす17歳のエリオとその家族たち。

そんなある日、教授をしている父の助手として

アメリカから24歳の大学院生のオリヴァーがやってくる。

夏が過ぎていくつにつれ、エリオとオリヴァーの距離は近づいていき…。

 

あまりにも美しくて、あまりにも悲しい一夏の恋物語でした。

ものすごく印象強いエピソードが盛り込まれているわけでもなく、

ものすごく感情を揺さぶられるようなシーンがあるわけでもない。

だけれど、見終わったあとについ溜息が出てしまうような、そんな作品。

 

突然やってきたアメリカの大学院生、オリヴァー。

とてつもなくオシャレな雰囲気で、とにかくモテる。それでいて頭もいい。

17歳のエリオから見たら、きっとすごく大人な雰囲気に見えただろうなぁ。

最初はどう接していいかわからず、困ったりもしてしまって、

だけれど、時間が経つにつれ、自分が彼に惹かれていることに気づく。

夏が終わればアメリカに帰ってしまう彼。同性同士という戸惑い。

秘密の気持ちを抱えたまま、彼だけが知る『秘密の場所』へと案内するシーンは、

なんだかとても心がくすぐったくなり、また切なくもなりました。

 

気持ちを言葉にするシーンが少ない映画なので、

どこで感情が動いたか、など少しわかりづらい部分もあったけれど、

エリオは無邪気な雰囲気をまとい、オリヴァーはとても大人びています。

エリオが少年であればあるほど、この一夏の恋が切なく思えてきます。

 

ずっとこの夏が続けばいいのに。そう思いました。

そうしたらずっと一緒にいられるのに。

だけれど、時間は残酷で、ふたりは離ればなれになってしまうのです。

暖炉の前でひとり静かに涙するエリオに、こちらもまた涙が止まりませんでした。

大人になったら忘れられる恋なのか、

それともずっと彼を忘れられないのか。

一生に一度しかない17歳の夏の恋を感じられる素敵な映画でした。

 

こちらの映画、とにかく雰囲気が素晴らしいです。

レトロな感じと、北イタリアのゆったりとした暮らしが、

2時間に渡って楽しめるのが本当に素敵です。

まるで自分も北イタリアにいるような、そんな気がしてきて。

時間がゆったり進んでいるような、そんな気持ちになりました。

 

それから、いろいろと考察が捗りそうな映画でもありました。

エリオの周りをときたま飛び回るハエや、オリヴァーのお腹の傷。

探したらいろいろと考察ポイントや暗喩ポイントがありそうです。

自分は、雰囲気で楽しんでしまいましたが。

 

映画感想『セッション』この指導者、鬼すぎる。

 

『セッション』2015年

 

偉大なドラマーになることを夢見て名門音楽院に通う19歳の学生ニーマンは、

ある日、学院最高の指導者として有名なフレッチャーと出会い、

学院最上位のクラスのバンドへと向かい入れられる。

しかし、フレッチャーは信じられないほどの鬼指導者で…。

 

おもしろすぎて食い入るように見てしまいました。

映画の始まりは、ひとりドラムを練習するニーマンのカットから。

画としては静かなのに、音としては賑やかで。

ほんの一瞬でこの映画の世界観にぐっと惹きこまれた感じがします。

 

ニーマンが出会った指導者フレッチャー。

彼が濃いキャラクターをしていて、ものすごかった…!!

ひとことで言うなら『鬼指導者』。

生徒にひたすら詰め寄って、圧をかけて、暴言を吐き捨てる。

どれだけ暴言レパートリーあるの!?と感心してしまうほどだった。

進撃の巨人のキース教官を彷彿とさせるような。そういう雰囲気。

 

「なるほど、この鬼指導者とニーマンはコンビっぽくなるんだな!」

…などと考えていたんですが、まったく違いました。

ニーマンとフレッチャーは常に対立しているといっても過言じゃなかったです。

とにかくフレッチャーはニーマンに厳しい。

それによって悔しさを覚えたり、なにくそ根性で練習に励んだりして、

ニーマンのドラムもレベルが上がっていくわけですが、

常に圧をかけられていたらストレスもものすごいわけで。

良い師弟関係を築けないニーマンとフレッチャーの、

なんというか、どろどろした関係性が個人的には結構好きでした。

 

なにかのプロになるって、生半可な気持ちじゃできないと思う。

フレッチャーの教育は少し行きすぎてるのかもしれないけれど、

じゃあ優しくし続ければいいのかといったら、違うわけで。

それに、大人になったら、プロになったら、叱ってくれる人はほぼいない。

叱ってもらえるって、結構ありがたいことだったりするんですよね。

過去に芸能のお仕事をしていたんですが、

現場は意外とドライというか、さくさく進行のことが多くて。

自分のお芝居が果たして合格ラインに達しているのか。

そんなことは誰も教えてくれなかった。

「できて当たり前」の世界なんですよね。

自分に疑心暗鬼になってしまうくらいなら、若い内にいっぱい叱られて成長したかった。

そういう意味では、ニーマンは恵まれているなぁ、と思いました。

 

さて、この『セッション』という映画。

本当に音楽が素晴らしくて、聞き入ってしまいます。

ジャズミュージックっておしゃれだしかっこよくて惹きこまれますね。

ヘッドフォンで爆音で映画を見ていたんですが、

できるなら映画館で見たかった…!!

特にラストのステージは圧巻すぎて何度も見たくなるシーンでした。

ステージを乗っ取るニーマン。飲み込まれるフレッチャー。

舞台にはバンドメンバーがたくさんいるけれど、

この瞬間はニーマンとフレッチャーのふたりきりの世界だった。

間違いなく、ふたりの『セッション』でした!!

 

音楽がテーマの映画、もっと見たいなぁ。

 

3月に見た19本の中から個人的オススメ映画5作品

今日で3月も終わり。

ということで今月見た映画の中からオススメ5作品をピックアップしてみました。

 

■2024年3月に見た映画一覧

 

『ミッドサマー』

最強のふたり

『TAR/ター』

『パーム・スプリングス』

『ルーム』

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

『NOPE/ノープ』

ゼロ・グラビティ

『K-12』

『メタモルフォーゼの縁側』

『エセルとアーネスト ふたりの物語』

デイ・アフター・トゥモロー

パディントン

『フェイブルマンズ』

『ターミナル』

『ヴァチカンのエクソシスト

幸せへのキセキ

『セッション』

君の名前で僕を呼んで

 

の計19本でした。

 

■個人的に好みだった5作品

 

①『ミッドサマー』

 

natumeoto.hatenablog.com

 

美しさと恐ろしさ、ダークさとポップさ、

そのコントラストが凄まじくてとても惹きこまれました。

ヒロインが村にどんどん溶け込んでいく(取り込まれる?)過程とか、とても好み。

花冠に白基調の衣装というのも可愛らしくて好き。

 

②『ルーム』

 

natumeoto.hatenablog.com

 

序盤のハラハラ感がものすごくて食い入るように見入ってしまった作品。

『部屋の中』と『外の世界』。親と子の感じ方の違い。

親子にとって『ルーム』に対する想いが違うところが胸に来ます。

息子役の子役のお芝居がうますぎてびっくりしちゃいました。

 

③『メタモルフォーゼの縁側』

 

natumeoto.hatenablog.com

 

BL漫画で繋がる17歳と75歳の友情話。設定がとても面白いです。

とにかく明るい気持ちになれるし、ハッピーな物語。

元気がないときに見たら前向きになれそうです。

あと芦田愛菜ちゃんがとても可愛いです。素朴感がいい…。

 

④『K-12』

 

natumeoto.hatenablog.com

 

不思議な世界観のミュージカル映画

アーティストのメラニー・マルティネスが主演、監督、脚本をしているようです。

ダークメルヘンな雰囲気で作品自体は可愛らしいのですが、

取り扱っているテーマは思春期ならではの悩みだったり重め。

全体的に長めのMVを見ている感じで、メラニーの歌やダンスに魅了されました。

わかりやすい映画じゃないけれど、なんだか繰り返し見たくなる。そんな作品です。

 

⑤『セッション』

 

まだ感想は書けていないのですが、ものすごく好みでした。

ドラマーを目指す学生と鬼指導者のお話。

音楽をテーマにした作品ってなんだか惹きこまれますね。音楽の力なのかな。

これは映画館で見たかったなぁ。

近いうちに感想を書こうと思います。

 

 

 

 

 

映画感想『幸せへのキセキ』動物園付きの家ってどう?

 

幸せへのキセキ』2012年

 

妻を亡くし、息子、娘と三人暮らしをしているベンジャミン・ミーは、

ある日、思い切って環境を変えようと家族で引っ越しをすることに。

しかし購入した物件には、なんと閉園状態の動物園がついてきて!?

 

人生で大切な20秒の勇気。

 

動物園や水族館がとても好きです。

東京で暮らしていた頃は上野動物園によく遊びに行っていました。

だけれど、田舎に引っ越してからは動物園に行く機会もほとんどなく。

映画を見ながら「動物園行きたい!!」という気持ちが強くなりました。

 

この映画は、『動物園の再建』と『家族の絆を取り戻す』

という2つの大きなテーマが描かれていて、

どちらも良い方向へと進んでいってくれるハッピーな作品でした。

登場人物のキャラクターもどこかコミカルに描かれていて、

重めなテーマだけれど親しみやすくて、見た後の疲れもなかったです。

 

そして大事なことなんですが、めちゃめちゃ泣けます。

反抗期の息子と父親が互いの思いをぶつけあって、

少しずつわかりあっていくシーンはもうぼろ泣きでした。

というか、終盤はずっとティッシュ片手に映画を見ていました。

家族モノが好きな方にはかなりクる映画なんじゃないかなぁ。

 

中学生の息子、7歳の娘。早いうちに母親を亡くした心の傷って想像がつかないです。

気持ちを表に出さず我慢している息子、まだ小さく純粋な娘、

妻のことが大好きできっと一番辛いのに、父親をしなければいけないベンジャミン。

一家の問題を抱えたまま、それでも時間は進んでいって。

父はなんとか頑張ろうと田舎の動物園付きの家を買う。

これをきっかけにいろんな人々に出会って、支え合って、

結果として動物園も再開できて、家族の仲もうまくいく。

トントン拍子に見えるけれど、ものすごい苦労があったはずで。

 

作中で人生には『20秒の勇気』が大切だと、何回か出てきます。

動物園を買ったときも、その後のいろいろな決断も、

きっとベンジャミンは父として、人として20秒の勇気を出したのだと思う。

この言葉って、とてもいい言葉だな、と思う。

私も胸に刻んで生きていきたい。

20秒の勇気があれば、きっといろんなことに挑戦できるはずだから。

 

それにしてもこの作品、動物が可愛いのはもちろんのこと、

娘のロージーが本当に本当に可愛い!!!!!

口が達者なおませな女の子なんです。本当可愛いので見てみてください。

それと、個人的にギャグの雰囲気が好みだったかな。

 

そしてびっくりすることに、こちらの作品、

実話を映画化したようで…!!

すごい人がいるんだなぁ。

 

幸せへのキセキ

幸せへの奇跡でもあるし、幸せへの軌跡でもあるんだと思いました。

 

映画感想『ヴァチカンのエクソシスト』この神父、強そうすぎる。

 

『ヴァチカンのエクソシスト』2023年

 

ローマ教皇からの依頼を受け、悪魔祓いへと向かったアモルト神父。

場所は修繕を行っている最中の古い修道院

そこにいたのは悪魔に取り憑かれたと思われる少年だった…。

 

お呼びとあらばスクーターをかっ飛ばす神父!!

 

神父服でスクーターに乗り、修道院へと向かう神父。

画になるし、ものすごいかっこよかった!!

なにせこのアモルト神父、とにかくガタイがいい!!!

普通に物理で殴れそうな勢い!!

エクソシスト物って全然見たことがないけれど、わかる。

たぶん、こんな体格良くて見るからに強そうな神父はいないって。

(いたらごめんなさい)

 

作中のお話だと、本物の悪魔に取り憑かれている可能性があるのは2%らしい。

そして今回、アモルト神父が助けようとしている少年は、

どうやら本物の悪魔に取り憑かれているとのこと。

すでに修道院にいた神父とマースとともにアモルトは悪魔祓いをすることに。

 

なんだか怖そうだな、と思って見る勇気が出なかった作品だけれど、

実際見てみると、そこまでホラーな演出もなく、見やすかったかな。

修道院に隠された秘密だとか、少年の姉、そして母との関係性だとか、

とても強いアモルト神父の弱みだったりだとか、

ホラー以外の要素もたくさん詰め込まれていて見応えたっぷりでした。

 

特にラストのほうは演出も派手だしもはやアクション映画!!

少年や家族を救うために自ら犠牲になるアモルト神父(超かっこいい)、

今までダメダメだったのに、大事なところで覚醒するトマース神父。

いやー、めちゃめちゃにかっこいい!!

これ、バディ物だったんだ!!!と。

 

続編が作れそうな終わり方だったので、

2があったらぜひ見たいなぁ。

 

モルト&トマースの凸凹コンビ感がクセになる映画でした。

 

映画感想『ターミナル』絶望的状況の奇妙な空港暮らし。

 

『ターミナル』2004年

 

とある目的のためにニューヨークの空港に辿りついたビクター・ナボルスキー。

しかし入国寸前で、彼の祖国がクーデターにより事実上の消滅をしてしまう。

パスポートは無効となり、どこにも行けなくなってしまったナボルスキーは、

空港生活を始めるのだった…。

 

空港から出られない。いつ祖国に帰れるかもわからない。

そもそもニューヨークに行く目的も遂行できるかわからない。

そんな絶望的状況に陥ったナボルスキーという男の奇妙な空港生活を描いた映画。

英語もわからず誰とも交流が取れず、不安に苛まれるナボルスキー。

いったいどうするんだろう、と見ているこちらも不安になる状況です。

だけれど、彼はこんな状況でもあきらめません。

英語を学び、空港内で小銭を稼ぐ方法を学び、

そのうち塗装や建築の腕を認められ空港内で仕事まで見つけてしまいます。

なんとも不思議なお話です。

 

最初は困り顔で誰とも会話が成り立たなかった彼ですが、

英語が話せるようになり交流を持ち始め、

そのうち空港で働く様々な職業の人たちと仲良くなります。

そして毎日毎日そこらをうろついているわけですから、空港内でも有名人に。

「友だち100人できるかな」が達成する瞬間を目の前で見ている気分です。

 

紆余曲折あり、最終的に彼はニューヨークへ行けるわけですが、

空港で彼をお見送りするシーンがとっても胸熱でした。

最初はあんなに彼に冷たかった空港の人たちが、

最後には彼を気遣い、お土産を渡し、彼のために道を作ってくれる。

物事ってうまくいかないときもあるけれど、

いつかきっと目の前の道が開けるときが来るんだ、と思えました。

 

この映画、シチュエーションは本当に絶望的なんですが、

描写はコミカルなものが多くて、不思議な温度感だな、と感じました。

ナボルスキーにとっては一大事で笑ってる場合じゃないのだけれど、

空港で働く人たちはとても個性豊かで、愉快な行動を取ってくる。

このギャップがおもしろかったなぁ。

いや、ナボルスキーにとっては本当に笑えない状況ですが。

個人的には、空港のカートを片付けることで25セント返ってくるシステムを利用して、

必死にカートをかき集めるナボルスキーがかわいかった。

こういう、本人はいたって真面目なのに端からみると面白い、みたいなシーンが結構あったかも。

 

さて。

私は海外旅行に行ったことがありません。

なんなら国内旅行もほとんどしたことがなかったり。

もし言葉もわからない知らない土地で、迷子になったりしたら…。

考えるだけでとても怖いです。

こんな状況を乗り切ったナボルスキー、本当にすごすぎます!!

 

空港に長居したことで英語を学んだナボルスキー。

ラストのラスト。その英語力を活かした素敵なシーンがあって胸熱でした!!