おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『君の名前で僕を呼んで』一生に一度しかない17歳の恋。

 

君の名前で僕を呼んで』2018年

 

北イタリアの避暑地で一夏を過ごす17歳のエリオとその家族たち。

そんなある日、教授をしている父の助手として

アメリカから24歳の大学院生のオリヴァーがやってくる。

夏が過ぎていくつにつれ、エリオとオリヴァーの距離は近づいていき…。

 

あまりにも美しくて、あまりにも悲しい一夏の恋物語でした。

ものすごく印象強いエピソードが盛り込まれているわけでもなく、

ものすごく感情を揺さぶられるようなシーンがあるわけでもない。

だけれど、見終わったあとについ溜息が出てしまうような、そんな作品。

 

突然やってきたアメリカの大学院生、オリヴァー。

とてつもなくオシャレな雰囲気で、とにかくモテる。それでいて頭もいい。

17歳のエリオから見たら、きっとすごく大人な雰囲気に見えただろうなぁ。

最初はどう接していいかわからず、困ったりもしてしまって、

だけれど、時間が経つにつれ、自分が彼に惹かれていることに気づく。

夏が終わればアメリカに帰ってしまう彼。同性同士という戸惑い。

秘密の気持ちを抱えたまま、彼だけが知る『秘密の場所』へと案内するシーンは、

なんだかとても心がくすぐったくなり、また切なくもなりました。

 

気持ちを言葉にするシーンが少ない映画なので、

どこで感情が動いたか、など少しわかりづらい部分もあったけれど、

エリオは無邪気な雰囲気をまとい、オリヴァーはとても大人びています。

エリオが少年であればあるほど、この一夏の恋が切なく思えてきます。

 

ずっとこの夏が続けばいいのに。そう思いました。

そうしたらずっと一緒にいられるのに。

だけれど、時間は残酷で、ふたりは離ればなれになってしまうのです。

暖炉の前でひとり静かに涙するエリオに、こちらもまた涙が止まりませんでした。

大人になったら忘れられる恋なのか、

それともずっと彼を忘れられないのか。

一生に一度しかない17歳の夏の恋を感じられる素敵な映画でした。

 

こちらの映画、とにかく雰囲気が素晴らしいです。

レトロな感じと、北イタリアのゆったりとした暮らしが、

2時間に渡って楽しめるのが本当に素敵です。

まるで自分も北イタリアにいるような、そんな気がしてきて。

時間がゆったり進んでいるような、そんな気持ちになりました。

 

それから、いろいろと考察が捗りそうな映画でもありました。

エリオの周りをときたま飛び回るハエや、オリヴァーのお腹の傷。

探したらいろいろと考察ポイントや暗喩ポイントがありそうです。

自分は、雰囲気で楽しんでしまいましたが。