おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『メタモルフォーゼの縁側』BLで繋がる17歳と75歳の友情。

 

『メタモルフォーゼの縁側』2022年

 

将来の夢もなく冴えない女子高生うららは、

ある日バイト先である本屋でBL漫画を買う老婦人雪と出会う。

同じくBL漫画が好きなうららは、雪と意気投合し、

年が離れた友人として交流することになる…。

 

推しがいる生活って心が潤うんですよね。

わかるわかる!!となりながら映画を見ていました。

BL漫画を通じて交流をすることになった女子高生と老婦人。

『好き』という共通の気持ちがあれば年の差なんて関係ない!!

 

やりたいことも特になく冴えない学校生活を送っていたうらら。

そして、ひとりぼっちで暮らす老婦人の雪さん。

そんなふたりがBL漫画というアイテムを手に入れてメタモルフォーゼ(変化)。

毎日が楽しくなるふたりの様子を見ていると、

こっちまでにこにこ笑顔になってしまいます。

猫背でとぼとぼ歩いていたうららが、軽いステップを踏んで廊下を駆ける後ろ姿。

何度も映されるその姿が生き生きとしていてとてもよかった!!

 

そして雪さん。

雪さんはお年を召しているけれど、とても情熱がある方で。

BL漫画の続きをウキウキ待っていたり、鼻歌をうたいながら料理したり、

絵文字を使ったメールをうららに送ったり、

とにかくチャーミングで可愛いお婆ちゃんなんです。

うららと雪さんの交流を見ているだけで癒されます。

 

BLというジャンルからか、堂々と人前で話ができないうららの姿。

クラスの陽キャ女子が堂々とBL語りをしていることにずるく感じてしまう姿。

人ゴミがすごいから、と一緒に行くのを断念したコミケ

癒しだけではなく、ちょっとした問題もちょこちょこ発生したりします。

 

そんな中、雪さんのひとことで「漫画を描こう」と立ち上がるうらら。

一緒に行けなかったコミケのこともあるし、

なによりうららはお絵描きが好きな子だったのです。

生まれて初めて作る同人誌。苦労と努力。成功と少しの失敗。

見ていてうららがとても輝いているように感じました。

だって、なにかに一生懸命になれるって本当にすごいことだと思うから。

たったひとりで漫画を完成させるってものすごいパワーが必要だと思うから。

 

BL漫画ではないけれど、私自身も同人活動をしていたりします。

グッズを作ったり、漫画を描いたり。とても楽しくて大好きなことです。

だけど、作るたいへんさも知っているから、うららに共感してしまいます。

創作活動に限らず「なにかをする」ってエネルギーが必要ですよね。

なにかに頑張れる人って尊敬します。

 

作中で雪さんが言っていた言葉が頭を離れません。

「才能ないとダメなんてことない」

とてもいい言葉だな、と思います。

私はもういい大人だけれど、それでもチャレンジしたいことがある。

なんだか雪さんの言葉に背中を押されたような気がしました。

 

この映画、とってもいいな、と思う点がありまして。

誰も不幸せにならないんですよね。

幼馴染みの男の子が彼女と別れちゃう、という事件はあるんですが。

なんとなくうららが支えになってくれそう。

というかこの幼馴染みの男の子がめちゃくちゃいい子で!!

いつもうららのことをさりげなく支えてくれるんですよね。良い…。

 

メタモルフォーゼの縁側。

きっと見たらハッピーな気持ちになれると思います。

それから、縁側でカレーが食べたくなるかも。