おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『ミッドサマー』美しくも恐ろしい村の祭り。

 

『ミッドサマー』2019年

 

突然家族を失ってしまったダニーは、彼氏や仲間とともに

スウェーデンの奥地にあるとある村を訪れることに。

90年に一度9日間に渡って行われるという特別な夏至祭に

参加することになったダニーたちに恐ろしい体験が待ち構えていて…。

 

序盤も序盤からとにかく不気味な雰囲気が漂っています。

情緒不安定なダニー、彼女を疎ましくも思っている彼氏たち、

然の家族の死、不穏なBGM、心が不安になるような画面効果、

そうして辿りついたのは、自然豊かでとても明るい美しい村でした。

 

村が美しければ美しいほど、それに反して不気味さが増してきます。

聞いたこともない村の風習、恐ろしい儀式、差し出される謎の飲み物。

村人の笑顔や、美しい衣装も、一度不気味と感じてしまうと、

なにもかもが怖いものに思えてきてしまうのが不思議ですね。

 

村の風習や暮らしぶりなどが、ものすごく細かく丁寧に描かれているからか、

世界観への没入感がとにかくすごいです。

本当にこの村は存在するのかもしれない。そう思うほどのデティールの細かさに圧倒されます。

 

物語は村の恐ろしい伝統儀式をきっかけに、どんどん不穏な方へと向かいます。

ひとりひとりと消えていく村の外から来た人間たち。

ホラーな雰囲気が漂う中、夏至祭は進んでいきます。

村から出られない。だけれど村の人はとても親切。

ただ、『村の中』と『村の外』の文化の違いがとてつもなく激しいのです。

理解し合えない怖さ、みたいなものも感じました。

 

一見すると意味がわからない、と思われそうなラストですが、

個人的にこの物語は家族を失ったダニーの新たなスタートの物語だと思いました。

4年ものあいだ依存していた彼氏からの解放。

そして村はひとつの家族という考えから、新たな家族を手に入れるダニー。

元の環境ではすぐにパニックを起こし心が消耗していたダニーですが、

思えば村に来てからは比較的落ち着いていたように思えます。

 

途中ダニーは村の女の子たちと踊りを競うという祭りの行事に参加します。

村人と手と手を取り合い、翻弄されつつもダンスを繰り広げ、

次第に彼女と村人は笑い合い、言語は違えど楽しさを分かち合い理解し合います。

 

さらに、とある事件をきっかけに泣きわめき取り乱すシーンがあります。

そのとき村の女の子たちはダニーを囲み、彼女と同じ呼吸のタイミングと、

彼女と同じトーンで一緒に泣いてくれるのですが、

この同調、共鳴という行為によってダニーと村人がより深く繋がったと感じました。

 

明るさと暗さ、美しさとグロさ。

相反する2つの要素が取り入れられているミッドサマーという作品。

このコントラストのインパクトがすごくて、

また見たくなってしまう、そんなクセになる作品でした。

 

花冠に白基調のワンピースという衣装が好みすぎました!