おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『エセルとアーネスト ふたりの物語』人生って物語だ。

 

『エセルとアーネスト ふたりの物語』2016年

 

『スノーマン』でおなじみのレイモンド・ブリッグズ

彼の両親エセルとアーネストについて描いた絵本をアニメにした作品。

メイドをしているエセルと、牛乳配達員をしているアーネストは、

いつの日か恋に落ちやがて結婚。ふたりのあいだに産まれたレイモンド。

のどかに暮らす3人だが、次第に戦争の足音が近づいていた…。

 

誰にでも人生があって、それって物語なんだ。

そう改めて思わせてくれた作品です。

どこにでもある普通の家族の歴史にも、もちろん喜びや悲しみがあって。

それが続いてひとつの物語になっている。

いつか私がお婆ちゃんになったときに、自分の人生を振り返ってみたとき。

人にとってはなんてことないことでも、私にとっては大冒険だった。

そんな物語ができていたら、なんだか素敵だな、と思います。

 

さて。こちらの作品はアニメーション映画です。

柔らかく優しいタッチで描かれた人物や背景がとても素敵です。

まるで本当に絵本の中にいるみたいな、そういう気分にさせてくれます。

 

生真面目でほんのちょっと気難しそうな妻エセルと、

いつでも明るくてサプライズが好きな夫アーネスト。

ふたりの何気ない毎日が描かれています。

1928年のロンドンの風景、暮らし、それから時代が進んでいき、

発展していく生活や電化製品。

1時間半という短い時間の中で、まるでタイムワープしたかのように

めまぐるしくその日、そのときが切り取られていきます。

 

とても幸せなエセルとアーネストですが、時代背景には戦争が。

日に日に色濃くなっていく戦争の気配を感じつつも、

それでも楽しく暮らしていくふたり。

たとえ家が壊れてしまっても、ふたりは力強く生きていきます。

 

戦争を乗り越えて、息子レイモンドも成長し、やがて結婚していきます。

そうしておじいちゃん、お婆ちゃんになるふたり。

時間は誰にも止められないし、進んでいくしかない。

いつか必ず別れのときが来る。

そういう当たり前のことが、当たり前のことのように描かれていて。

そこには創作物にあるような大きな事件や出来事はなくて。

それでも、ものすごく胸を打つなにかが存在して、涙が止まらなかったです。

 

世の中には変わっていくものと変わっていかないものがありますよね。

たとえば街の景観や、時代のあれこれが変わっていっても。

大好きな人への気持ちはずっと変わらない。

そういう小さくてとても大切なものを大事にしていきたいな、と思いました。

 

レイモンド・ブリッグズ

スノーマンくらいでしか知らなかったけれど、

次に絵本などで見かけたら、きっとエセルとアーネストのふたりを思い出しそうです。