おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『幸せなひとりぼっち』騒がしすぎる孤独な暮らし。

 

『幸せなひとりぼっち』2016年

 

半年前に妻を亡くしてひとりぼっちで暮らす59歳のオーヴェは、

さみしさから自殺をはかろうとする。

が、向かいに引っ越してきた陽気な一家によって失敗してしまう。

何度も自殺をしようとするが、そのたびに失敗するオーヴェ。

やがてご近所さんとの交流を通じて、オーヴェの心は変わっていくのでした…。

 

とても暖かくて優しい物語でした。

オーヴェは亡くなった妻のことがいつまでも大好きだし、

引っ越してきた家族は明るくて楽しい人たちだし、

ご近所の人たちもなんだかんだオーヴェを気に掛けてくれていて。

今ってご近所付き合いがほぼなくなっているのかな?

私自身も、お隣さんくらいしかお話したりしないなぁ、と。

この映画は、だからなんだかとても懐かしい気分になりました。

 

気難しくて、曲がったことが大嫌いで、誰にも頼らない孤独なオーヴェ。

そんな彼が、引っ越してきた家族(主に陽気な奥さん)と交流することで、

だんだん心を開いていく、というストーリー。

 

無理矢理子どもたちの世話をさせられたり、車を運転させられたり、

お向かいの奥さんによって、めまぐるしい暮らしをするオーヴェ。

最初は嫌がっていた彼も、だんだんとそんな生活に慣れてきて。

妻の元へ行きたいという気持ちはあれど、『今』生きている時間も

たしかに楽しいと思い始めてきて。

いつも怒ってばかりのオーヴェが、

こっそり子どもに笑顔を見せたり、猫を優しく撫でてみたり。

そういう心の動きや変化に何度も何度も泣いてしまいました。

 

映画は現在と過去を行ったり来たりします。

自殺をはかったとき、妻のいない家の中を見渡したとき、

ふとしたときにオーヴェは過去を思い出します。

オーヴェの生い立ちを知ることで、より深く世界観に没頭することができました。

 

映画の中にはとても素敵なシーンがいっぱいあるのですが、

私の一番好きなシーンは、お向かいの家の赤ちゃんをオーヴェが抱っこするシーン。

お向かいさんとの交流を通じて、オーヴェは家族が持てたのだと思えたからです。

それは間違いなく。

ひとりぼっちだけど幸せな暮らしだと、そう思いました。

 

人生は楽しくなくちゃ。

きっとそれってそんなに難しいことじゃなくて。

ちょっと手を伸ばすだけで手に入ることなのかもしれないなぁ。