『RUN』2021年
生まれつき体が弱く、車イス生活をしている母親とふたり暮らしのクロエ。
そんな彼女は大学受験をし自立しようと日々奮闘。
母も応援してくれているはずだったが、ある日謎の薬を飲まされるようになり…。
最初は、よくできた娘と、献身的だけどちょっと変わったお母さん、
という雰囲気だったのに、途中から一気にホラーに変わっていく展開。
どうするんだろう、どうなってしまうんだろう!!
という恐怖に終始震えながら見ていました。
ある日突然増えた新しい薬。しかもその薬には不審な点が多い。
数々の苦難を乗り越えやっと知ることができた薬の正体は、
人間が飲んだら足が麻痺するという恐ろしい薬で…。
優しかったはずの母親が、一気に恐怖の対象になる展開はまさにサイコホラー。
車椅子生活で自由に行動できないクロエは、
誰かに助けを呼ぶことすらままならない状態。
家に閉じ込められ、車椅子昇降機の配線を切られ、
『母』という存在が、知らない誰かになっていく恐怖が、
クロエの表情や呼吸、必死さから伝わってきます。
クロエの役者さんの鬼気迫るお芝居が本当にすごいです。
そして物語終盤に知ることになる衝撃的な事実。
母にとってのクロエという存在の大きさ。子どもへの異常な執着。
毒親というひとことでは片付けられない歪んだ愛。
いろいろなものを混ぜて煮込んだような、そんな恐ろしさに震えました。
RUNに出てくるダイアンという母親ほどではないにせよ、
子どもに過干渉だったり、子どもは自分のものだ、という親っていますよね。
まさに私の母親がかなりの過干渉だったわけなんですが…。
なんだかちょっと苦い過去を思い出しました。
ラストのラスト。成長したクロエのとあるシーン。
彼女ははたして本当に幸せになれたのかな。
そう考えてしまうような、難しいラストになっていたな、と思いました。