おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『A GHOST STORY』ただそこにいるおばけのお話。

 

『A GHOST STORY』2018年

 

郊外の小さな一軒家で暮らす若い夫婦。

幸せな毎日を送る夫婦でしたが、ある日突然、夫が交通事故で死んでしまいます。

死んでしまった夫は真っ白なシーツを頭から被ったようなゴーストになり、

再び愛する妻の暮らす家へと戻るのでした…。

 

ゴースト作品とひとことで言っても姿形は様々。

ですが、頭からシーツを被り、黒い大きな目ををした姿は記憶にありません。

まるで絵本の中に登場するような、少し可愛い見た目をしたゴースト。

以前SNSでそのビジュアルを見たときから気になっていた映画を見てみました。

 

ただ黙ってそこにいるゴーストとなった夫。

ひとりになってしまった妻を遠くから眺めたり、そっと体を撫でてみたり、

言葉なく妻を見守る姿がとても印象的で、とても寂しい気持ちになります。

だけれど、どこかあたたかい。

 

ああ、こうして妻を静かに見守る映画なんだなぁ、と思いきや、

だけれどまったくそんなことはなく。

ゴーストとなったことで時間の感覚がなくなったのか、

夫を置き去りに、妻の時間はどんどんと進んでいき、

ついには新しい恋人ができ、そしてふたりの家も出ていってしまいます。

ゴーストはただ見ていることしかできません。

やがて新しい家族が家に引っ越してきて、それを嫌がったり、

さらに時間が進んで家を取り壊されてしまったり。

とにかく静かに進んでいく映画ですが、

ところどころに「え!?」という展開が散りばめられていて見入ってしまいます。

 

おもしろいな、と思ったのが、

はるか過去の世界と、未来の世界をゴーストが目にすること。

ラストの展開はめまぐるしく、一瞬思考が置いてかれてしまいました。

もしかしてこれってループ物なのかな?と思ったり。

 

物語の中で、妻が家を出て行く際に壁にメモ切れを埋めていきます。

そのメモを取り出そうとするゴースト。

果たしてそのメモにはなにが書いてあったのか。

真相はわからないけれど、想像の余地があっていいな、と思いました。

こういう演出大好きなので。

 

長い長い時間を『生きた』ゴーストが

救われていたらいいな、と願います。