『エヴォリューション』2016年
その島に暮らしているのは少年と大人の女性のみ。
そしてそこに住む少年たちはある医療行為を施されていて…。
島に住む少年ニコラもそのうちのひとりだった。
ある日、ニコラは町の外れにある施設に連れていかれ…。
海辺にある寂れた集落。そこで暮らす少年と女性たち。
毎日謎の薬を飲まされる主人公ニコラ。
夜な夜な出掛けては奇怪な行動をする女性と、
町外れにある施設で受ける不可思議な医療行為。
謎が謎を呼ぶ、ホラー映画でした。
なにかものすごく怖いことが起こるわけでもなく。
なにかものすごい深いストーリーがあるわけでもなく。
ただ見た後になんともいえないぞわぞわとした気持ちが残りました。
なんだろう。楳図先生の漫画を読んだときと似たようなぞわぞわ感かも。
ホラー映画だけれども、どこか神々しくもあるというか…。
得体の知れない恐怖みたいなものを感じました。
無力な少年であるニコラは、されるがままに病院のような施設に連れていかれ、
疑問や疑念を感じながらも無理矢理にある医療行為を受けさせられます。
それによって自身の体に起こるある変化や、秘密を隠している女性たち。
まさにエヴォリューション=進化なのかもしれません。
ニコルが入院中に出会ったひとりの看護師さん。
彼女はニコルに興味を示し、寄り添います。
どこか淡々として感情が見えない女性たちの中で、
唯一感情のようなものが見え隠れするのがこのステラという看護師さん。
その感情は、私には『母性』のように感じられました。
ニコラと出会ったことで、ステラの中でも
新たなエヴォリューションが始まったのかな、なんて思ったり。
閉鎖された空間での生活。
そこに疑問を持つのは難しいですよね。
だってそれが当たり前の世界だから。
島の外の住人である『私たち』から見ると、違うかもしれませんが。
島から出たニコラは、果たしてどう生きていくのか。
まさに今『産まれた』彼はどう進化していくのか。
彼のその後が気になります。
とにかく不思議な世界観で、恐ろしい童話を見ている気分でした。
画面も薄暗く、BGMもとにかく少ない。
それでいて、岩を打つ波の音は耳が痛くなるほど大きい。
心がざわつく、そんな映画でした。
あくまで個人的な感想ブログなので考察などは控えますが、
いろいろと妄想が捗る作品でした。