おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『NOPE』ありえないことに直面したら。

 

『NOPE』2022年

 

父と牧場を経営しているOJ。

ある日、空から降ってきた物体によって父の命が奪われてしまい、

現場にいたOJは謎の飛行物体を目にする。

彼は妹とともにこの飛行物体を撮影しようと試みるが、

待っていたのはありえない出来事だった…。

 

序盤に差し込まれている猿の凶悪な暴走事件と、

ありえない角度で立ったまま動かない女の子の靴。

この映像がどう関係しているのかしばらくわからなかったんですが、

映画を最後まで見て、納得できました。(理解できたかは謎ですが)

 

この映画は、2回目を見てもおもしろい作品だな、と感じました。

というのも、物語序盤から張られた伏線が結構多いんですよね。

最初は「?」と思う箇所もあるんですが、

最後まで見ると「おお!!」と思うような仕掛けになっていて、

あれも、これも、全部意味があることだったんだ!とびっくりしました。

 

いついかなるときでも動かない雲の中にいる謎の飛行物体。

OJとその妹、そして家電量販店の店員さん、カメラマン、

最終的にこの4人で飛行物体の撮影に挑むという物語。

「UFOモノかー」となにげなく見ていたんですが、覆されました。

途中まで普通に、宇宙人とかが出てくるタイプの作品だと思っていました。

まんまと引っかかっちゃったなぁー。いやー、おもしろい。

 

人々が『生きている』飛行物体に吸い込まれていく様と、

その内部で行われている恐ろしい光景は、

子どもの頃に見たら絶対トラウマになってしまいそうな恐怖感です…。

飛行物体を目撃した人々が、唖然と空を見上げるシーン。

すぐにパニックになるわけでもなく思わず目を奪われてしまう。

思考停止状態になるというか、なんかそういうリアル感もあって怖かった。

 

馬の調教師であるOJ、かつて調教ができなかった妹。

この2人が『生き物である飛行物体』を相手に奮闘する姿が熱かったです。

特に妹の活躍は、見ていてすっきりするというか、

「よかったね!!」という感情がわいてきました。

 

物語の途中で、かつて暴走した猿が行った惨劇を目撃していた人物が出てきます。

子役時代に遭遇したありえない出来事。

凶暴化した猿と目が合い、子役に手を伸ばしてくる猿。

なぜか彼はグータッチを望まれていると思い猿に手を伸ばします。

たぶん、一瞬猿と通じ合った、と勘違いしてしまったんでしょうね。

この『わかり合えた』という勝手な自己満足、自己解釈によって、

大人になった彼はたいへんな目に遭ってしまう。

 

助からなかった彼と、助かったOJの違いが顕著で、

そういう対比も見ていてとても考えさせられました。

思い込みって怖いよなぁ、と。

 

それにしても生きている飛行物体にはびっくりしました。

普通のUFOモノだと思っていたから…。

終盤のスピード感と白熱感がすごかったなぁ。

 

よく思うことがあって。

たとえば海に入ったとして。その下にはなにがいるかわからないわけですよね。

潜ってみて、目の前にマンボウとかマンタとか

巨大な生物がいたらどれだけ怖いだろう、と。

そんな想像をしてひとり怖くなることがよくあるわけですが。

 

見上げた雲の中に、なにかが潜んでいる。

なんだか海への恐怖と似たものがあってぞわっとしました。

雲の中にあるのはラピュタがいいよー。