おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『アナザーラウンド』仕事しながら飲酒する大人たち。

 

『アナザーラウンド』2021年

 

冴えない高校教師マーティンは、ある日、

『血中アルコール濃度を一定に保つと効率が上がる』という理論を知る。

マーティン含め4人の教師たちは、その理論を証明すべく

勤務中に飲酒をするのだった…。

 

自分に自信がないとき、不安なとき、どうしたらいいかわからない。

そんなときって誰にでもあって、そういうことが延々と続いたらそれはとても辛い。

アルコールがそんな気持ちを消し去ってくれるなら…。

マーティンは藁にもすがる思いだったのかもしれない。

教師としても、旦那としても、父親としてもなんだか冴えない毎日。

そんなとき『血中アルコール濃度理論』を聞いて、

気のいい仲間の同僚4人で「じゃあ試してみるか」となります。

 

最初は半信半疑で。

だけど、実際に効果が表れて。

気分が高揚して、口もよく回り、胸を張って教壇に立って、

家族との仲も取り戻していく。そんな夢の生活。

マーティンたちは論文を書くという名目で、飲酒量を増やしていってしまいます。

だけどアルコールというのは、やっぱり怖いもので。

取り扱いを間違えれば待っているのは破滅なのでした。

 

この作品には光の面と闇の面があると思いました。

みんなから慕われるようになったマーティンと、彼の心の葛藤。

アルコールに振り回されない人と、そうでない人。

教師にも生徒にも悩みがあって、でもそれって人間には当たり前のことなんだよね。

アルコールはたしかにマーティンたちの手助けをしてくれたかもしれないけれど、

結局は自分の力でなんとかするしかない。

自分の中にあるちょっとの勇気を出せば、なにかを変えることもできる。

そう思える映画でした。

 

作中にメガネで気弱なサッカー少年が出てきます。

彼はいつも臆病で、仲間に入れずコーチの袖を握っています。

そんな彼がある試合中、ゴールを決める。

それは彼自身の勇気で、もちろんアルコールなんて飲んでいません。

そして時間は進み、お葬式のシーンがあります。

そこでもこの臆病な少年は自ら進んで歌をうたうのです。

なんだか、私にはこのシーンがとても印象に残りました。

 

さて。それにしてもこの作品に登場する教師4人のキャラがとても良い。

みんな気のいい人たちだし、それぞれが思いやりに溢れている。

そしてみんな子どもみたいな人たちで、見ていて楽しかったです。

アルコールによって運命は分かれてしまったけれど。

 

人生はやり直せる、何度でも。

そう感じることができた映画でした。

 

それと同時に、お酒を飲むシーンが本当に美味しそうで。困っちゃいますね。

お酒を飲みたくなるけど、お酒って怖いな。なんて思っちゃいました。

なにごともほどほどがいいですね。