おうちで映画時間。

アマプラなどで見た映画の感想を書いています。

映画感想『LAMB/ラム』可愛い羊人間とホラーな人間のエゴ。

 

『LAMB/ラム』2021年公開

 

飼っている羊から産まれてきたのは、羊ではないなにかだった。

羊飼いをしている夫婦は、その『羊ではないなにか』を大切に育て始める。

アダと名付けられた『なにか』はすくすくと育ち…。

 

まず驚いたのが、とにかくセリフが少ないということです。

最初の10分はほぼ無言。全体を通してもかなりセリフが少ない印象。

物静かな夫婦、そして、アイスランドの広大な自然。

淡々とした空気感に、一気に惹き込まれました。

 

『羊から産まれた羊ではないなにか』が登場してからも、

物語はゆっくりと静かに進んでいきます。

ブランケットで包まれ、大切に抱かれる様は、人間の赤ちゃんのよう。

だけれど覗いている頭はまんま羊。

その正体は、頭が羊、体は人間というまさに『羊ではないなにか』でした。

 

ただただ当然のように親羊からその子を奪い、大切に育てていく夫婦。

映画自体ホラーというジャンルのようですが、

個人的には、人間って怖いな、と感じた作品でした。

親羊への態度、そして対応は、人間のエゴを感じる恐ろしい一コマだと思います。

 

静かに暮らしていた羊飼いの夫婦の元に現われた、

アダと名付けた羊ではないなにか。

少し歪な家族の絆や触れあいの裏で、

奥さんの大切ななにかが変わっていってしまう様子が描かれていて、

その対比に少しぞっとしてしまう気持ちになりました。

 

そんな夫婦の中心にいるアダですが、とてもとても可愛いです。

ニットを着ておしゃれをしたり、ご飯の用意を手伝ったり、

一緒に踊ったり、お花の冠をかぶったり。

とにかくアダは可愛くて、そしてとってもいい子なんです。

喋ることはできないけど、頷いたり首を振ったり、しっかり意思疎通もできます。

本当に人間の子どもみたいな可愛さです。

 

ラストの展開には驚きましたが、

序盤の映像を思い返すとなるほどな、と納得がいきます。

ただ、アダがどう感じているのかわからないのが悲しい。

喋れないのだからしかたないのですが…。

 

人間の自分勝手さにホラーを感じる作品だな、と思いました。

アダが可愛いので、そのうち2回目を見たいです。